NVIDIA Jetson

NVIDIA Jetsonシリーズ：組み込み向け高性能コンピュータ

NVIDIA Jetsonは、NVIDIA社が開発・提供する組み込みシステム向けシングルボードコンピュータのシリーズです。その最大の特徴は、機械学習アプリケーションに特化して設計されている点です。GPUを搭載した並列処理能力により、画像認識や機械学習、自動運転などの高度な処理を高速に実行できます。これらの特性から、Jetsonはロボット工学、ドローン、スマートシティなど、幅広い分野で活用されています。

Jetsonシリーズの概要

Jetsonシリーズは、ARMアーキテクチャのCPUを統合したNVIDIA Tegraプロセッサ（SoC）を搭載しており、低消費電力で高いパフォーマンスを発揮します。さまざまなモデルが存在し、それぞれ異なる性能と特徴を持っています。

ハードウェア

Jetsonシリーズには、以下のモデルが含まれます。

TK1

Jetson TK1は、Tegra K1 SoCを搭載した開発ボードです。Ubuntu Linuxを搭載し、2014年4月下旬に出荷されました。初期モデルとして重要な役割を果たしましたが、現在は生産が終了しています。

TX1

Jetson TX1は、Tegra X1を搭載したシングルボードコンピュータです。開発用途として利用され、その高い処理能力が評価されました。

TX2

Jetson TX2は、Tegra X2を搭載しています。低消費電力でありながら高い性能を持つため、小型ドローンなど、コンパクトなサイズが要求される用途に適しています。また、産業用途向けの堅牢なTX2iバリアントも存在します。TX2には複数のパフォーマンスモードが用意されており、用途に応じて最適な動作モードを選択できます。

Xavier

Jetson Xavierは、ファミリーの最上位機種として、2018年8月末に発表されました。従来のモデルと比較して、大幅な高速化と電力効率の向上が実現されており、複雑なAI処理を必要とするアプリケーションに適しています。

Nano

Jetson Nanoは、低価格のエントリーモデルとして2019年3月中旬に発表されました。70x45mmとJetsonシリーズの中で最も小型であり、趣味のロボット工学などの用途を想定しています。電力効率が最適化されており、フルTegra X1システムの一部機能に限定した構成となっています。具体的には、CPUコアとGPUコアが半分、接続可能なRAMも半分となっています。しかし、利用可能なインターフェースはベースボードの設計に依存し、柔軟な設計が可能です。

Jetson Nanoには、以下のオペレーションモードがあります。

ソフトウェア

Jetsonボードシリーズは、多様なOSやソフトウェアをサポートしており、開発の柔軟性が高いのが特徴です。

Linux

JetPackは、NVIDIAが提供するJetsonボードシリーズ向けのソフトウェア開発キット（SDK）です。Linux for Tegra (L4T) オペレーティングシステムやその他の開発ツールが含まれており、開発を効率的に進めることができます。

RedHawk Linuxは、Jetsonプラットフォームで利用可能な高性能RTOSで、リアルタイム開発ツールやCUDA/GPUの機能強化、ハードウェアインザループシミュレーションフレームワークを提供します。

QNX

QNXオペレーティングシステムも、Jetsonプラットフォームで利用可能であることが報告されています。特に、Vibrante LinuxディストリビューションをベースにしたQNXパッケージがJetson TK1 Proボードで動作することが確認されています。

まとめ

NVIDIA Jetsonシリーズは、多様なモデルとソフトウェアサポートにより、さまざまな組み込みアプリケーションに対応できる強力なプラットフォームです。特に、機械学習の分野でその能力を最大限に発揮し、AI技術の発展に貢献しています。

関連項目

シングルボードコンピュータ
NVIDIA Tegra
Raspberry Pi

外部リンク

公式ウェブサイト

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